2010年7月1日

復刊

"For a Language to Come",  Takuma Nakahira



© Takuma Nakahira


「来たるべき言葉のために」は、1970年に刊行された中平卓馬の写真集。日本写真界のマイルストーンとも、その後に記憶を失った中平の最高傑作とも称される。絶版となり、最近は中古書店で30万円もの値が付けられていた。
この歴史的な写真集が、オシリス社によって今月再刊された。40年もの時を経て、今なお、若き中平の才能ぶりを余すところ無く伝えている。この頃の中平は、近い存在だった森山大道よりも更に普遍的な対象物、構図で撮影しているが、印象は森山より非常にシャープ、先鋭的だ。批評家としても当代随一と言われた頭脳明晰さを誇ったが、写真家としては昔も今もピュアであり、そこが不思議に人を惹きつける。
何度も見ても、嘆息ばかりが出る写真集である。「来たるべき言葉」はまだ出てこない。